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今週の症例「歯科処置」

2015.11.09

新しいシリーズの始まりです。このシリーズでは、日々の診察で気になった症例や飼主様に知って頂きたい情報をお伝えしたいと思います。

 

初回は、お知らせのコーナーにもある歯石除去のキャンペーンをご利用いただいて歯石除去を行った「ウッディ」ちゃんのご紹介です。

 

ウッディちゃんは11歳のプドールさんです。「口臭が気になる」と「歯石がついてきた」とのことでご来院頂きました。ウッディちゃんは、病院ではいつもとってもお利口さんですが、お家では少々違って「歯磨きはさせてくれない」とのこと。実はウッディちゃんは3年半前にも一度歯石除去を行っているのですが、だいぶ歯石が付いてきているものの、まだ歯周病は進行していないと判断し、歯周病予防のために歯科処置を行うことにしました。麻酔の心配をされていましたが、しっかりとご説明させて頂きご理解頂きました。

 

飼主様のご承諾を頂き歯石除去の様子をご覧頂きたいと思います。

 

まずは、歯周ポケット確認。やはり以前にも歯石除去などの歯科処置をしていたおかげで歯周病は軽度でポケットは深くありません。

 

 

そうはいうものの歯周病が全くないわけではなく、ご覧のように容易に出血してしまいます。

 

 

超音波スケラーで歯石を除去しましたが、ここで処置が終了したわけではありません。

よく誤解されてしまうのですが、歯石を取っただけでは見た目がきれいになっただけで歯周病に対しては何の効果もありません。歯周病治療や予防にはこれからの処置が大変重要になります!!

 

ルートプレーニング処置です。キュレットという器具でポケット内の歯石を除去し、歯周病菌に汚染されているセメント質を除去して歯根面を滑沢(つるつる)にします。外からは見えない歯石や歯周病菌に犯された汚染組織が存在していてこれを取らないと意味がないのです!

 

 

最近「無麻酔で歯石を取ります」と動物病院や美容室等で歯石を取っている所があるみたいですが、このルートプレーニング処置、この後ご紹介するキュレタージ処置は、無麻酔でまず不可能です。

 

無麻酔で歯石除去をすることは効果もないばかりでなく、ワンちゃんに恐怖を与えたり、歯ぐきを損傷させたり、ひどい場合は命にかかわることもあるので絶対にしないで下さいね。(実際にあった恐ろしい出来事・・・取れた歯石が気管に入ってしまって呼吸困難に陥った、嫌がるワンちゃんを押さえ込んで歯石を取ったため持病の心臓病が悪化して肺水腫で亡くなった、など・・・)

 

あ〜ちょっと熱く語ってしまいました・・・

 

ということで、次はキュレッタージ。歯周ポケット内の上皮と結合組織を除去し、歯肉が歯に再び付着しポケットが浅くなるためにはこの処置が必要です。

 

 

そして、最後にポリッシングです。歯石を超音波スケラーで除去しただけでは見た目はきれいになっても歯の表面は凸凹しています。そのままの状態ですとすぐに歯石が付着するので研磨剤(荒研磨用と仕上げ研磨用)を使って歯の表面をツルツルに磨きます。その後お口を洗浄して終了です。

 

 

以上、歯石除去の流れです。

 

 

         除去前                      除去後

 

 

どうです?きれいになったでしょう!歯の表面もですが、注目して頂きたいのは歯ぐきです。本当に11歳とは思えないぐらい歯ぐきの状態がすばらしいです!

 

歯石除去には麻酔が必要なので躊躇されることもあるのですが、ウッディちゃんの麻酔時間は45分ほどで、麻酔時間が短いと麻酔の覚めも速くその日のうちに大抵の子が帰れます。ひどく歯周病が進行して歯を抜いたりの処置が必要になると麻酔時間が3時間を超えるようなこともあります。

 

日頃から歯磨きができれば問題はないのでしょうが、もし歯磨きがなかなかできずお口が臭うようなことがあれば、麻酔下での歯科処置を考えて頂いても良いのではと思っております。歯周病が進行して症状(くしゃみや鼻血、顔が腫れる等)が現れて歯科処置をしなくてはならない状況よりも、症状が出る前に処置できればワンちゃんネコちゃんにかかる負担も減り健康な生活を送って頂けると信じています。

 

これをお読みになられて興味を持たれた患者様は一度ご来院下さいませ。

 

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